【プロジェクトが解決しようとしている社会課題】
長い内戦やポル・ポト政権の混乱によって教育制度が破壊されたカンボジア。現在は各国のNGO等の支援により改善が進みつつあるものの、未だに教育インフラが不足し、カリキュラムを実施するために必要な授業時間が確保できません。また、音楽や美術を指導することができる教員や教材の不足、加えて、国語や算数等の主要科目に偏重したカリキュラムにより、子どもたちは初等教育(小学校)において音楽・美術等の情操教育を受ける機会がない状況です。
さらに、カンボジアは先進国と異なり、学校以外で子どもたちが芸術にふれる機会が少ないため、学校教育において子どもたちの表現力、想像力、更には人間関係の形成や自主的に行動する能力を育む機会を設ける必要があります。
【解決する方法】
当会ではカンボジアに6,767校ある全ての小学校で音楽・美術教育が行われることを目指し、「ドレミとアート基金」を設けました。寄せられた基金を活用し、以下の活動を行います。
① 音楽・美術教員の養成
現職の教員および教育関係者対して、音楽・美術に関する知識や理解を深め、現場の指導に生かすことを目的として、専門家によるトレーニング・ワークショップを開催します。受講者が学んだ知識を現場で実践することで音楽・美術教育の質が高まります。
② 教材寄贈
事業実施対象校や全国の教員養成学校に対して、継続的に音楽・美術教育を実施することができるように、鍵盤ハーモニカや画材などの教材を支援します。
③ 生徒の発表機会創出
事業対象地域で巡回絵画展と音楽コンテストを開催し、生徒の音楽・美術に対する学習意欲を向上させ、学校へ通うことの楽しみを創出します。
※今年の事業対象地域(音楽:コンポンチュナン州、プレイベン州、美術:スワイリエン州、カンポット州)
【プロジェクトのもたらす長期的成果】
・カンボジアにおける音楽・美術教員の育成により、授業を充実させ、子どもたちの感性や表現力、想像力などを育みます。最終的にカンボジアにある6,767校全ての学校で子どもたちが音楽・美術教育を受けられるようになることをめざします。
・情操教育科目の充実は子どもたちの通学の動機づけにもなり、現在は85パーセントにとどまっている修了率の向上につながります。
・表現力、想像力の向上を通して多様な人間関係を形成する能力、そして自立的に行動する能力を育みます。
【遂行メンバーや受益者からのメッセージ】(美術トレーニング参加者の声)
「美術は子どもにとって多分野で役立ちます。JHPの美術教育プロジェクトが浸透していくことを望みます。」(スヴァイリエン州 教育局長)
「今までは”イマジネーション”には馴染みがなかったけれど、その重要性が理解できました。これから美術教育を広めていきたいと思います。」(スヴァイリエン州 小学校校長)
【寄付によって達成できること】
・12,000円で1名の美術教員がトレーニングを受講できます。
・1,000円で1校にクレヨン2セット、画用紙1冊、絵の具1セット、色鉛筆1セットを寄贈できます。
今年度のプロジェクト予算額 : 3,000,000円