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特集バックナンバー Vol.10 虐待などで居場所がない子どもたちの自立を支援!


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虐待などで居場所がない子どもたちの自立を支援!

子どもたちへの虐待のニュースが相次いで報じられています。しかし、子どもたちがその後どう暮らしているのかはほとんど知らされていません。実は、司法事件としては決着したものの、自分の居場所がなく、生きるための仕事もない子どもたちがたくさんいます。

周囲の大人たちから適切な援助と保護を受けるのは権利であるにもかかわらず、親からさまざまな暴力によって傷つけられ、見捨てられている子どもたち。そうした現実に接している弁護士たちは、社会福祉関係者などと協力してNPO法人子どもセンター・パオを設立し、子どもたちが緊急に泊まれる安全な場所を提供しています。そして、子どもたちがほっとでき、心を癒しながら自分のペースで次のステップに歩めるようにしています。

今回は、パオが取り組んでいる子どもたちの支援活動や今後の取り組みについて、弁護士でもある多田元・理事長にインタビューします。(インタビュー:城市創・ギブワン編集者)

特定非営利活動法人子どもセンター「パオ」
[愛知県]

虐待から身を守る「場所」がない子どもたち

Q:パオの設立経緯をお聞かせください。

多田:NPO法人として設立したのは2006年で、その1年前には弁護士や福祉関係者などで設立に向けた準備会を結成しました。設立のきっかけとなったのは、愛知県弁護士会子どもの権利特別委員会で子どものシェルターの必要性が話題になったことです。

私も弁護士として親などから虐待を受けた子どもに関する事件を取り扱っていますが、司法的には決着がついても、家に帰れなかったり、帰ってみたものの問題が発生して再び家から逃げ出したといったケースが数多く生まれています。そうした場合、私たちは緊急避難的に子どもをビジネスホテルに宿泊させたり、事務所に泊めたりしています。私も2週間くらい子どもを事務所の書庫で寝泊まりさせたことがあります。そうしないと、親の虐待などから身を守り、安心して休める「場所」がないのです。

しかし、弁護士事務所やビジネスホテルに泊めるには限界もあります。そうしたことが弁護士会の特別委員会で話題となり、それなら子どもを親の虐待などから守り、短い期間ではあっても居場所がない子どもが安心して過ごせる場所を提供しようと、パオを設立しました。パオという名前はモンゴルの組み立て式の家の名称で、モンゴルの吹き荒れる風から人々を守っているように、傷ついた子どもが守られ癒されて、次のステップに進んでいけるように支援したいという思いを込めました。



子どもの現実と福祉行政のスキマを埋める

Q:一時的に子どもを預かる福祉施設はすでにありますが、違いは何ですか。

多田:たしかに児童相談所の一時保護所では子どもを預かっています。しかし、年齢制限や受け入れ人数などの問題などから、保護には限界があります。さらに重要なことは、虐待、とりわけ性的虐待を受けた子どもは精神的に大きなショックを受けており、すぐに共同生活に馴染むことはできないケースが多いことです。無理に共同生活を強いるのではなく、少人数のほっとできる場所が必要なのです。その面でも福祉施設には限界があります。

そうした福祉での限界、表現を変えれば子どもの現実と福祉行政の間に生じているスキマをカバーすることで子どもの権利を守ろうというのがパオです。そのための施設として、2007年4月に愛知県内に子どもシェルター「丘のいえ」を開所しました。


子どもたちが緊急避難できる「丘のいえ」

Q:「丘のいえ」はどういう仕組みになっていますか。

多田:子どもシェルターの必要性を強く感じていた弁護士たちが、所有者の善意もあって民家を破格の値段で共同購入し、虐待などを受けている子どもたちに緊急避難的に入ってもらう施設です。ここには3名の常勤スタッフとボランティア・スタッフがおり、24時間体制で子どもを支援しています。

流れを説明しますと、まずパオが対象としているのは緊急度が高い女の子で、保護を必要としている子どもや、子どもから相談を受けた大人・機関から電話やファクス、メールで事務局に相談が寄せられると、面接と受入審査を行い、すぐに「丘のいえ」に入ってもらいます。「丘のいえ」では担当弁護士と担当ソーシャルワーカーが直接支援します。子どもがほっとできる場所にするために定員は2名で、利用期間は原則として2週間から2ヵ月くらいです。

「丘のいえ」は、とにかく安全で安心してもらえる場所を緊急に提供することを目的としていますから、外部には場所を明らかにしていませんし、携帯電話は使用禁止、外出もスタッフと一緒といった制限があります。


子どもの主体性や気持ちを最優先して支援

Q:子どもは精神的にも追い詰められた状態にあるということですが、それだけスタッフの対応にも配慮が必要ですね。

多田:そのとおりです。スタッフは原則として子どもたちと衣食住を一緒にしており、福祉系の大学を卒業した若い人が多いです。子どもと接する時に大切なことは、無理を強いらないことです。この子を無事に社会に復帰させたいという熱意は大切ですが、その熱意が逆にプレッシャーとなり、子どもが自分の鎧をより強固にしてしまうこともあります。

したがって、行政にすればルーズに見えるかも知れませんが、規制を最優先するのではなく、子どもの主体性や気持ち、意見などを中心に話し合いながら決定するようにしています。あくまでも対等の関係を維持しているのです。その意味ではスタッフには高い能力が求められますし、そのために講座なども開催してスタッフの養成にも取り組んでいます。



行政からの補助金がない「丘のいえ」

Q:公設の一時保護所とは異なるということですが、それは運営面で影響がありますか。

多田:大いにありますね。まず、行政的にはシェルターは認められていませんから、補助金等がありません。一時保護所には一時保護委託という制度があり、パオのような民間団体でも一時保護を受託できます。受託すると、子ども1人について1日あたり1,500円が支給されます。食事代で消えてしまう金額ですが、受託することで子どもを保護する権限が認められます。私たちはけっして孤立して頑張っているわけではありませんから、こうした制度を有効に活用していきたいと思っています。しかし、現時点での制度では自分たちのようなNPOが頑張るしかないと思います。


自立に向けたパワーを養うステップハウス

Q:「丘のいえ」の利用期間は原則、最長で約2ヵ月です。「丘のいえ」を巣立った子どもはすぐに社会で生活できますか。

多田:心身の回復が図られても、一人で自活するのは困難です。住み込み就職や児童福祉法で認められた自立援助センターにつないで就職しても、たちまち離職したり、パニックに陥り、精神科の病院に入院するケースも多発しています。現実として働くことが困難な子どもに「働くこと」を強いると、それが重くのしかかってしまうのです。

そこで必要なのは、もう少し時間をかけて、傷ついた心を休める場所、社会に出てパワーを付けてもらう場所です。こういう場所が必要なことはシェルターを運営しているNPOなどが口を揃えて主張してきましたが、財政的に大きな負担となるため、残念ながら設置されてきませんでした。しかし、将来を担う子どもたちを支えるためには必要だと考え、今年の春にシェルターを出た後の子どもたちの居場所として「ステップハウス」を開設することを決めました。「ステップハウス」はシェルターと自立援助ホームの間を埋める施設として位置付けています。一軒家を借りて改築し、2階では最大4人が個室で生活し、1階は事務室となります。4人のスタッフが常駐し、子どもたちは「ステップハウス」から通院したり、就職へ向けた講習なども受けに行けます。


すべて寄付と助成金で運営せざるを得ない「ステップハウス」

Q:運営には相当な財源が必要ではないですか。

多田:「丘のいえ」よりも多額な財源が必要だと考えています。「ステップハウス」も「丘のいえ」と同様、一時保護委託を受けることはできますが、措置費がでない現状では寄付金や助成金に頼るしかありません。その点では非常に苦しい財政運営になると覚悟しています。しかし、「丘のいえ」での活動をきっかけに全国の地方都市でもシェルターが誕生したように、私たちの小さな活動が社会的に認められ、全国に広がっていくと期待して頑張ります。



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