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特集バックナンバー Vol.9 余剰食品の無償分配で、生活弱者の支援団体をサポート!


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余剰食品の無償分配で、生活弱者の支援団体をサポート!

かつて「飽食ニッポン」という言葉がマスコミで頻繁に使われ、食の見直しや大切さの再認識が求められるようになりました。その一環として、2005年には「食育基本法」が制定され、食の見直しや大切さについての意識啓発が積極的に展開されています。

しかし、食の流通においては、食品の安全性や商品性を確保するために、食品関連企業では命の糧でありながら大量の食品を廃棄せざるを得なくなっています。 その一方で、資金不足から豊かな食生活を提供できない福祉団体も数多くいますし、日々の食に困窮している生活弱者も増え続けています。

その両者を結び付け、食品関連企業から無償提供された余剰食品を福祉団体に無償分配しているのがNPO法人フードバンク関西です。

今回は、フードバンク関西の理念や活動内容、活動する上での課題や今後の展望などを藤田浩理事長にインタビューします。(インタビュー:城市創・ギブワン編集者)

認定特定非営利活動法人フードバンク関西
[兵庫県]

余剰食品を生活弱者に届ける

Q:フードバンクとはどういうものですか。

藤田:食品関連企業から余剰食品の提供を受け、支援を必要とする人たちに届けることです。スーパーやデパートなどの商品棚には大量の商品が並べられていますが、賞味期限が迫ってきたり、商品のパッケージが壊れたりすると、商品棚から下ろされます。また、配送での傷などを理由に商品棚に並ばない商品も多くあります。こうした商品は、味や賞味期限などでは問題はないのですが、お店側にすると廃棄せざるを得ません。もったいないことです。

その一方で、児童養護施設などは福祉予算の削減などで苦しい経営を強いられていますし、ホームレスの緊急生活援助を行っているNPO法人なども資金不足で苦慮しています。また、その日の食事に事欠く人たちも多くいます。

そこで、両者を結び付け、自社の商品を最後まで大切に扱う食品関連企業から、食べ物としてはおいしく安全なのに廃棄せざるを得ない食品を無償で提供したいただき、生活弱者を支援する団体などに無償で届けて活動に役立ててもらうのがフードバンクです。

運動の支援者からお借りした事務所には所狭しと余剰食品が並んでいる。


米国では200以上の団体が活動

Q:日本ではあまり知られていないようですが、海外ではどうですか。

藤田:欧米を中心に20年以上前から活発な活動が行われており、福祉団体を支援して貧しい人たちを飢餓から守るとともに、食糧廃棄の削減を通じて環境を守るボランティア活動として成果を生み出しています。現在、米国では200以上のフードバンクがあり、5万にも及ぶ慈善団体への支援を行っています。

米国人の活動がきっかけでスタート

Q:フードバンク関西の設立はいつですか。

藤田:設立したのは2003年8月で、翌年1月にはNPO法人として認証されました。設立のきっかけは、当時芦屋市に在住していた米国人ブライアン・ローレンスさんが、2003年4月にオープンしたコストコホールセールジャパン尼崎から余剰食品の無償提供を受け、大阪市内のホームレスシェルターとホームレス炊き出しテントに無償で分配する活動を始めたことです。

スタートしてみると、無償提供される食品はとても一人ではさばけないほどの量です。それを知って日本人ボランティア8人が活動に参加するとともに、ホームレス支援団体だけでなく、障害者共同生活ホームや母子緊急生活支援組織などにも無償分配するようになりました。

ところが、その年の8月にブライアン・フローレンスさんが日本を離れることになりました。そこで日本人ボランティアで協議し、NPO法人として活動を継続することに決定したのです。

生まれ育った尼崎にお返ししたい

Q:理事長が活動に参加されたきっかけは何ですか。

藤田:私は尼崎生まれの尼崎育ちで、しかも尼崎で商売をさせてもらっています。だから、尼崎に何かお返ししたいと考え、20年くらい前から知的障害者や高齢者の買い物代行といったボランティア活動に取り組んでいましたし、尼崎のボランティアセンターにも登録していました。そんなこともあって、ボランティアのコーディネーターをやっている友人から「週1回程度で良いからフードバンクの活動を手伝ってくれないか」と頼まれたのがきっかけです。

取り組んでみると、無償提供される食品の量は膨大で、とても週1回の活動では対応できません。また、無償提供してくれる企業を広げることも必要です。そこで、自分としても本格的に取り組もうと決意しました。

生まれ育った尼崎にお返ししたいと語る藤田理事長


約30数社の企業が余剰食品を提供

Q:活動を展開するためには余剰食品を無償で提供してもらうことが必要ですが、企業の反応はどうでしたか。

藤田:欧米ではフードバンクというシステムは普及していますので、外資系企業からは最初から反応がありました。しかし、日本の企業からは反応はなく、案内書を送っても返事がなかったり、「産業廃棄物業者ですか」と尋ねられることもありました。しかし、テレビや新聞などで紹介されるようになると、無償提供してくれる企業数は着実に増加し、現在(2011年1月)では30社あまりになっています。ただし、無償提供してくれる企業ならどこでも良いという考えは持っていません。私たちは余剰食品の処理団体ではありませんから、社会貢献を企業の使命として掲げ、私たちの考えや活動をきちんと理解している企業に絞っています。

75ヵ所の福祉団体に無償分配

Q:無償分配する福祉団体等はどう選定していますか。

藤田:当初は、尼崎ボランティアセンターから紹介してもらいましたが、その後は口コミで広がり、現在は75ヵ所の福祉団体等に無償分配しています。原則的に申し込まれた福祉団体等には無償分配していますが、申込を受けた段階で直接団体を訪問し、運営状態などを確認しています。というのも、せっかく無償提供していただいた食品ですから、横流しなどを防ぐことも私たちの使命であると考えているからです。

毎月12トンの食品を取り扱い

Q:具体的にはどういう活動を行っていますか。

藤田:約50名のボランティアが交代で、日曜日を除く毎日、各人所有の車両を使って余剰食品の回収と分配作業、事務所での入出庫管理、食品の仕分け作業等を行っています。大型量販店からはパン類や野菜果物類を引き取っており、その量は1日200キログラム前後になります。また、米やパン類、野菜果物類、鶏肉調理済加工品、乳製品、菓子類、調味料等がそれぞれの企業から定期的に事務所に届けられていますし、個人の方が宅配便で寄贈してくださることもあります。

毎月の取扱食品量は約12トンで、パン類と野菜果物類は2週間に1度、米やその他の食品は月1回の頻度で福祉団体等に運び、無償で分配しています。分配にあたっては団体の利用者の実情にできるだけマッチさせるようにしており、特に子どもや高齢者を対象とした団体には、少量でも美味しく喜ばれるものを分配するようにしています。子どもたちを対象とした団体では、ごはんとおかずだけという食事が多いのですが、ゼリーなどを分配すると子どもたちにも喜ばれます。そうすると、計画していたデザート購入資金を施設の改修などに回すことができますし、それ以上に子どもたちを見守る他者がたくさんいるということを子どもたちにも伝えられます。これもフードバンクの役割だと考えています。

なお、食品の取り扱いにあたっては安全管理や食中毒等の事故防止には特に留意しており、企業や福祉団体等とも共通理解を明文化するために確認書も交わしています。

冷蔵庫から余剰食品を運び出す福祉団体のメンバーたち


活動資金の安定的確保が課題

Q:事業の仕組みにはお金が介在していませんが、活動運営費はどうされていますか。

藤田:賛助会員の年会費と寄付、募金を主な収入源として運営していますが、これだけでは全体の支出の半分程度しか賄えません。といって、毎日の作業量等を考慮すると、他の収益事業と並行して活動することは厳しいと思います。そこで民間福祉財団の助成金等を充当していますが、申請しても受領が確定できないケースも多く、予算が立てられないのが実情です。今後も活動を継続していくためにも、資金を安定的に確保することが必要であり、私たちが抱える最大の問題点ともなっています。

地域の食のセーフティネットを構築したい

Q:今後の展望をお聞かせください。

藤田:まず、地域の食のセーフティネットの役割を果たすことです。私たちは福祉団体を通して余剰食品を無償で分配してきました。その一方で、福祉団体の支援ネットワークから外れている個人の高齢者や生活困窮者が、一時的に日々の糧である食料を確保できない状況を迎えるケースも多くなっています。そうした時に緊急支援できるような仕組みを作り出すことも必要だと考えています。これについては、フードバンク団体は個人情報をもたないので、行政との協働が必要ですし、まず地元の芦屋市に食のセーフティネットを構築することから取り組みたいと思います。そして、その実績を踏まえて近隣の地域に広げていきたいと考えています。

また、これまでの経験から、地域の余剰食品を、地域のボランティアの手によって、地域の生活弱者に再分配し、その運営資金を地域の住民が賛助会員として支える仕組みを作ることが理想だと思います。そのためには、フードバンクに取り組もうという各地の団体にノウハウや情報を提供し、日本の全地域でフードバンク事業が展開されるようにしたいですね。これによって、食のセーフティネットが日本全体津々浦々に広がることを願っています。



関連プロジェクト

余った食品の活用で、生活弱者を支援します(フードバンク関西)

包装破損、納期限遅れ、規格外等の理由で商品としては扱えなくても、食品としては安全でおいしい食べ物を、食品関連企業から無償で譲り受け、それらを関西地域の生活弱者を支援する福祉施設に無償分配しています。
生活弱者の皆さんの食生活を豊かにし、福祉団体の運営を支援し、さらに食品の廃棄量を減らして環境保全にも貢献しています。

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