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特集バックナンバー Vol.5 トラと森と人が共に生きる世界を!


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特集 トラと森と人が共に生きる世界を!

 100年前には、10万頭もの野生のトラが、東トルコからオホーツク海にいたるまで、アジアに広く分布していました。しかし、現在では3500~4000頭に減少し、危機的な状況が続いています。その原因はどこにあるのか、問題解決のために、どんな取り組みを行っているのか、そして、私たちは何ができるのかを、トラの保護活動を展開しているふたつの団体にお聞きしました。

(1)トラの生息域の分断が進むインド。トラが行き来できる環境の保全を!

 まずは、特定非営利活動法人 トラ・ゾウ保護基金理事長の、戸川久美さんにお話をうかがいました。



トラ減少の背景には密猟と、生息地の分断が。

 トラ・ゾウ保護基金は1997年に任意団体として発足。その後他団体の1プロジェクトとして活動していましたが、2009年10月に新たなNPOを取得して再出発。当初からインドでの保護活動に取り組んでいます。
 インドに生息するトラは急速に減少しており、100年前の生息数は4万頭でしたが、1970年代には1800頭に減少。その後一時回復したものの2007年には1411頭という調査結果が出ています。減少の背景には、どのような問題があるのでしょうか。

 「トラは、現在、アジア14カ国に点々と生息していますが、どの地域でも密猟と生息地の減少が問題です。トラは昔から、美しい毛皮が商取引の対象になり殺されてきましたが、いまだに密猟が横行しており、虎骨酒や身体部分を使った漢方薬の売買も密かに行われているのが現状です。開発による伐採や違法伐採で森が急速に失われ、トラの生息地が減少していることも見逃せない大きな問題です」(戸川さん)。

 トラの生息域は単に減少しているだけでなく、分断が進んでいることが問題だと戸川さんは指摘します。トラは獲物を追いかけて広い範囲を移動するため、生息地が島のように点在していては行動圏が制限されてしまいます。エサを獲得するための移動がままならないだけでなく、新たなトラとの出会いも困難になり正常な繁殖も妨げられることに。さらには、生息域周辺で暮らす住民との接触機会が増すため、人間とトラとの軋轢も生じます。トラが移動できる環境を保全することが、今、私たちに求められている最大の課題です。(写真は野生のトラ (C)田中光常

生息地の分断を進めないため、多角的な視野で活動を展開

 トラ・ゾウ保護基金がインドで取り組んでいるのは、中央インドのマハラシュトラ州にある「ナクジラ野生生物保護区」と「ナウェガオン国立公園」における密猟防止と、トラが広い範囲を移動できるよう環境保全することです。密猟防止のためには、この地域をパトロールしているレンジャーに対して、装備・教育などに必要な資金援助をしています。

 このふたつの地域は、疎林などで、かろうじてつながっている程度で、人間活動も入り込んでいるため、トラの行き来が難しくなりつつあります。戸川さんは、トラを守るには、周辺に住む村人たちに対してトラとの共存への理解を求める活動も重要だと考えています。

 「周辺住民は、日常的にトラの生息域で家畜に草を食べさせているため、トラのえさであるシカのエサが減っています。また、伐採した木で煮炊きをしているため森が失われています。人為的な影響をどう回避していくかも視野に入れて活動する必要があるのです」(戸川さん)。

 そこで、農業や牧畜の技術改良を手伝い生産性を上げるなど、森に極端に依存せずに生活を改善する方法を村人参加のもと検討しています。

命がけのトラ保護。それでも続けなければトラは守れない!

 トラ保護には、まさに命がけの側面があると戸川さんは言います。インドでは、戸川さん自身が、日本人バイヤーを装って密猟グループのボスに接近。取引のための交渉に見せかけるおとり調査に協力したことも。

 トラ・ゾウ保護基金は、ロシアでも、密猟を防止するためのレンジャーに資金援助をしてきましたが、一昨年以降、ロシアでの活動を休止しています。それは、レンジャーの人々が命に関わる危険にさらされたからです。

 密猟者を多数検挙したことで恨みを買い、調査活動に役立っていた犬が毒殺されたり、車のエンジンに砂糖を混入されるという事件も起き、ひとりのレンジャーは精神に支障を来たし、入院治療を余儀なくされました。

 「マフィアにとって、ドラッグ、野生動物、銃は3大資金源ですから、野生動物を保護する人間に対して脅しをかけたのでしょう。また、ロシアは賄賂が横行する国ですから、保護区長が地位の高い人物の密猟に目をつむるという実態もあります」(戸川さん)。

 それでも、戸川さんはあきらめません。2010年にはロシアに出向き、可能性を探る考えです。

食物連鎖の頂点に立つトラを保護すれば、生態系が守られる

 トラ・ゾウ保護基金は、イリオモテヤマネコの保護活動も行っていますが、トラとゾウの保護からスタートしました。トラとゾウに特化した理由を戸川さんはこう話します。

 「トラは肉食動物の食物連鎖の頂点に立つ動物で、獲物を獲るために、とても広い範囲を移動しています。トラが獲物を得られる環境は、他の動植物にとっても豊かな環境であるため生物多様性が維持できます。さらに森を守ることにもつながり、地球温暖化防止とも深く関わってきます。ゾウに関しても、草食動物の頂点に立つという意味で、同じことがいえるのです。」

 トラ保護は、私たちの暮らしと無関係ではありません。生物多様性の保全と豊かな自然環境を未来につなげるための大きな希望であるトラ。トラを守る意味は、そこにあります。

 「知らない世界への入り口として寄付をとらえてほしい」と戸川さんは言います。トラが住む森を思い浮かべてください。想像力をふくらませることが、世界のトラを救い、ひいては私たちの生活も守ります。


(2)アムールトラが生きるロシアの広大な森を永続的に!

国際環境NGO FoE Japan

国際環境NGO FoE Japan ロシア森林・アムールトラねっと担当 佐々木勝教さん

ロシアの森を守ることが、アムールトラを守ること

 FoE Japanは、地球規模での環境問題に取り組む国際環境NGOとして1980年に設立しました。気候変動、砂漠緑化など幅広く活動を展開していますが、中でも森林保全と生物多様性は環境保護活動の要ととらえています。ロシアの森に住むアムールトラに着目し、その保護活動に取り組んでいるのは、森林保全と生物多様性の観点からなのです。

 佐々木さんは、こう説明します。
 「アムールトラが生息しているロシア極東南部には、針葉樹と広葉樹の混交したタイガと呼ばれる豊かな森が広がっています。エサの宝庫であるこの森を守ることが、アムールトラを守ることにつながるという視点で活動しています」。

 地理的には、とても近いロシアですが、私たち日本人にとってロシアは身近とはいえない国です。まして、そこで生きる野生動物への関心は高いとはいえません。そこで、関心の喚起と普及を目的に立ち上げたのが「アムールトラねっと」です。現在、日本国内で、アムールトラを飼育する動物園との連携を進め、生態や現状をパネルにして展示してもらうなど、具体的に行動していくためのきっかけになる取り組みを展開しています。

違法伐採の深刻化、押し寄せる開発の波

 アムールトラは、世界最大のトラで、国際自然保護連合が作成しているレッドリストに絶滅危惧種としてランクされています。2004年冬の調査では、生息数は428~502頭。1996年冬の調査では400数十頭だったため、公式には微増とされていますが、ある保護区での最近の調査(2009年に16の地域、23,555km2(アムールトラ全生息域の15~18%)を対象に行った調査)では40%減という報告もあり、決して楽観はできない状況です。
 アムールトラは、今、数々の脅威にさらされています。世界の他の地域と同様、密猟も大きな問題ですが、近年、深刻化しているのは違法伐採です。

 「ソ連邦崩壊後、森を守るための管理体制が不安定になり管理が行き届かなくなり、生活に困窮した人たちによる盗伐が激増しました。国が外貨獲得の目的で切りすぎるという危惧もあります。伐採が進むと森が再生できなくなり、生物多様性を維持できなくなってしまうのです」(佐々木さん)。

 ロシア極東でアムールトラが生息するのに適している場所は、2004年冬の調査では352,740k㎡。日本の陸地面積に相当します。そして、メスの縄張りは横浜市ぐらいの面積で、オスの縄張りは、その約3倍の1300 k㎡。トラは移動しながら獲物を獲るため、広大な土地がないと生きていくことができません。ロシアの場合は、まだまとまった豊かな森が残されているため、他のトラ生息国のように生息域の分断は、それほど進んでいませんが、佐々木さんは将来的に分断されないという保障はないと言います。

 「ロシアは資源外交が盛んな国で、その代表的なものが木材ですが、現在、アムールトラが生息するエリアに石油と天然ガスのパイプラインを通す計画が進行しています。開発の際、環境基準を無視する可能性があるのではないかと危惧しています」。

活動には限界がある。一般の人たちの関心喚起が重要!

 トラが住む森を守るための活動として、FoE Japan「アムールトラねっと」のほか、精力的な活動を展開しています。昨年度までは、沿海地方の一地域の森を守るために、この森に住む先住民ウデヘ人が自主的に実施している密猟パトロールに資金援助をしてきました。また、この土地を訪ねるエコツアーも毎年実施しています。
 さらに、違法伐採対策として、日本の業界レベルから木材調達を正常化させる取り組みをしたり、日本が開発途上国に融資するプロジェクトが、現地の環境や社会に負の影響をもたらすことがないよう調査や政策提言も行っています。
 複合的に解決策に取り組んでいるFoE Japanですが、佐々木さんは、これらの活動は解決策のパーツにすぎないといいます。

 「日本列島ほどもある広大な土地をすべて保護区に登録するのも、全域を密猟パトロールするための人員確保も、まず不可能です。(例えば、)私たちが支援している地域の密猟パトロールに対して、2008年には62万2104円(年間61日分)を援助しましたが(が2008年に必要とした経費は、最低でも62万2104円(年間61日分)で、)(同様の活動によって)全域をカバーするには(だけでも)、少なく見積もっても1600~1700万円が必要なのです。とにかく活動を継続し、一般の人たちの関心を高めていくしかないと考えています」。

顔(森)の見える木材製品購入を!消費者が業者意識を変える

 私たち日本人は、古くは明治時代から、トラの住むロシアの森の恩恵を受けてきました。関東大震災後、第二次世界大戦後は、この地の木材が日本の復興を助け、高度経済成長期にはマイホーム資材として需要が高まりました。現在も多くのロシア産木材が私たちの暮らしの中に入り込み役立っていますが、ほとんどの日本人は、その事実を知りません。
 トラが住むロシアの森を守るために、私たちができることは、家具などの木材製品を購入するとき、その生産国に関心をもつことです。

 「出所のわからない木材製品は購入せず森林認証マークがついた製品(など)を選んでほしいですね。どこから来た木材なのか店の人に質問してみる。まずここから始めてください」。

 消費者が業者の意識を変えるのだと佐々木さんは訴えます。(ご参考:「ボク、違法材”ナラ”いらないよ

関連プロジェクト

ベンガルトラを救え!緊急支援 (トラ・ゾウ保護基金)

現在、中央インド、マハラシュトラ州にあるナグジラ野生生物保護区とナウェガオン国立公園で、常勤160名のパトロールレンジャーと臨時雇用のレンジャー約40名が活躍しています。

トラの密猟そのものだけでなく、餌となるシカやイノシシなどの密猟防止、伐採防止、山火事の消火活動なども行っているレンジャーにとって、車も必要ですが、自転車はとても便利です。保護区内を見回るために小回りのきくギア付き自転車が、あと30台足りません。

10,000円あれば、現地で自転車を1台購入することができます。

トラを絶滅の危機から守るために、パトロールレンジャーのみなさんを、応援しませんか。

タイガの森に生息する野性アムールトラを守ろう (国際環境NGO FoE Japan)

FoE Japanでは、アムールトラを飼育している全国24の動物園と連携して、野生アムールトラ生息地の状況を分かり易く解説したパネル5枚セットを園内に展示してもらったり、リーフレットを設置してもらったりしています。

また普及イベントとして、オリジナル人形劇「トラちゃんの里帰り」やアムールトラクイズを実施して、アムールトラの現状を子どもたちにも分かりやすく紹介するという取り組みを始めました。それぞれの動物園の特色を活かしたイベントを実施することで、動物園に来場した方たちに、野生アムールトラを取りまく環境について楽しみながら学ぶ場を提供しています。

今後より多くの動物園で、もっと頻繁に普及イベントを行っていくために、FoE Japanでは新たな「啓発キット」を作成して、動物園の市民ボランティアの方々などにもイベントを主催してもらう計画を立てています。

10,000円あれば、啓発キット(紙芝居、解説書、ぬいぐるみ)1セットを動物園に提供することができます。

50,000円あれば、動物園関係者やボランティアが環境教育を実施できるようになる研修会を開催することができます。

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寄付受け入れ関連プロジェクト

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ベンガルトラを救え!緊急支援

トラ・ゾウ保護基金では、密猟防止パトロール活動を行うレンジャーを支援しています。

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タイガの森に生息する野性アムールトラを守ろう

国際環境NGO FoE Japanでは、絶滅の危機にさらされているアムールトラを守るための活動を行っています。

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