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レポート情報

[村落植林活動]キリマンジャロ山を巡る「人」と「環境」の相克 (その2)

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 そして結果として起きたことは、2002年にHMFSを除く森林保護区が国立公園に編入され、次いで2005年に発布された国立公園法補助法によって、HMFSもすべて国立公園に取り込まれてしまいました。そこを管理するキリマンジャロ国立公園公社(KINAPA)は、ショットガンを装備したまさに軍隊のような監視隊を配置し、暴力をもいとわぬ地域住民の完全排除へと乗り出しました。もともとこの国立公園領域拡大の背景にあるのは、人を追い出すことで自然を守るという旧態依然とした要塞型自然保護思想で、キリマンジャロ山で起こっている現実と結果は、暴力を除き、その思想が実に忠実に実行に移されたことを意味しています。その背後には、日本も含む先進国(当然のことながら、タンザニアの重要なドナー国でもある)からの提言があったことを、忘れるべきではないでしょう。

 もちろんそのことによって、地域住民の生活もより豊かになるというのであれば、何も問題はありません。しかし百歩譲ってたとえ住民生活が犠牲になったとしても、世界人類の宝であるキリマンジャロ山の自然や森林が守られるのならば良いと考えたとして、果たしてこの方法(人と自然の完全隔離という方法)で本当にキリマンジャロ山の自然や森林が守れるでしょうか?当会ではそうは考えていません。

 キリマンジャロ山の森林管理と森林劣化の歴史を紐解いてみれば、先の事例も含め、それが住民に対する管理強化の繰り返しの歴史であり、森林劣化を止められなかった(orより悪化する)歴史の繰り返しであったことが分かります。そして国立公園化は、その従来の管理強化によ・u桙骼ゥ然保護という失敗の思想と手法から一歩も踏み出さないばかりか、管理強化の究極の姿ともいえるものです。また、過去の歴史と事実は、たんに管理を強化するだけでは、キリマンジャロ山の自然は守れないことを明確に示していますが、そもそも国立公園化によって、地域住民の日々の薪や家畜の飼料(草)に対する需要が消え去るわけではなく、人々は違法を承知で国立公園に“侵入”する以外に選択枝がありません。人間の排除によって自然保護が成立するという論理は、少なくともキリマンジャロ山においては、現実を無視した机上の空論に過ぎないといえます。

 一方で、やはり歴史を紐解くと、その森林が最も良く管理・保全されていたのは、森林破壊者として排除の対象とされた、まさにその地域住民自身の手に森林(HMFS)の管理が任されていた時期、すなわち前出のチャガ評議会が管理していた時期であったことが分かります。管理や規制を強化しても、それを確実に実行、フォローする予算も人員もない政府に対して、地域住民たちは自らの生活が森林に依存しているが故に、その持続可能な利用の重要性をよく理解し、厳格な利用と管理のルールを設け、極めて堅実に守っていきました。

 当会では、キリマンジャロ山の森を守り、そして同時に地域住民の生活を守るには、トップダウンによる一方的な管理強化とその押しつけではなく、かつてのチャガ評議会の時代がそうであったように、地域とその住民たち自身が考える森林の利用・管理の方法を、ボトムアップで再構築していく必要があると考えています。そしてその実現をはかるため、現在以下を課題とした活動に重点的に取り組んでいます。

 1.HMFSからの国立公園の解除。
 2.地域住民の考える森林利用・管理の方法と仕組みの再構築
 3.“2”の森林条例への反映
 4.地域住民による森林管理への持続的モチベーションの確保

 これらの課題のいずれも、その実現は容易ではありません。2012年3月現在、“1”については、中央政府、州、県の各レベルにおいて、その必要性への理解を深め、国立公園解除に向けた一定の成果(国立公園に取り込まれたHMFSでの、地域住民による植林活動の中央政府による承認、HMFSを除く新たな国立公園境界の測量完了)はあるものの、国立公園を手放したくないKINAPAの激しい巻き返し・u桙ノ遭っており、今後どうなるか予断を許しません。さらにこの課題を最終的に決着させるためには、国の法律(国立公園法補助法)を改正する必要があり、今後議会対策も必要になってきます。

“2”は、モシ県下のHMFSに沿って存在する村々の協議会の立ち上げが完了し、その中でボトムアップによる森林利用・管理の仕組み作りが必要である、とのコンセンサス形成までたどり着いた段階です。

“3”は、国立公園が現実に解除されるまで手をつけられない内容です。

“4”は、チャガ民族の生活、文化の中で森林が果たしてきた役割や位置づけを、村人たちと共に見つめ直してみる作業に取り組んでいます。そのプロセスや取り組みによるアウトプット(イラストマップ、村のガイドブック、村のカルタ等)を通して、森に対する再認識、再発見や、自分たちに身近な森への、さらなる愛着に繋がっていったら良いと考えています。

 人と環境の相克。キリマンジャロ山において、それは決して人と環境の対立という図式ではありません。それはそのどちらかにしか目を向けない、偏った視座が生み出した、人の生み出した図式だといえます。この図式を解き放つ鍵は、まさにその誤った視座を改めることにこそ出発点があり、片方を排除しその権利を奪うことではなく、相手を信頼し、お互いに叡智を寄せ合うことにあるのではないでしょうか。







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