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水(みず)

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キリマンジャロ山麓の3地点における降雨推移グラフ。上段が モシ気象局(標高83m)、中段がキレマミッション(同1,430m)、 下段がキボショミッション(同1,430m)
キリマンジャロ山麓の3地点における降雨推移グラフ。上段が
モシ気象局(標高83m)、中段がキレマミッション(同1,430m)、
下段がキボショミッション(同1,430m)

 キリマンジャロ山では降雨の減少(グラフ1)により、水源の枯渇や流量減など、山麓に暮らすチャガ民族の生活を支えてきた伝統水路も放棄を余儀なくされるなど、人々の生活に影響を与えている。
 そんな折、この夏に開かれたタンザニアの国会で、私たちの主力活動地であるテマ村があるムボコム区(区は村の上位行政区分)における水不足の問題が、スーザン・リモ議員(キリマンジャロ州モシ県選出)によって取り上げられた。そこで行われた議論を以下にみてみたい(リモ議員の質問に対して、水資源省の官僚が答弁を行った)。

【左図(グラフ1)】キリマンジャロ山全体で、この1世紀の間に約30%雨量が減少したことが、観測結果から報告されている。

 質問に立ったリモ議員は、まず北コリニ村、テマ村の存するムボコム区、およびこれらの村に含まれる各村区(村区は村の下位行政区分)で続く水不足について、政府の対応がまったく進展していないことを指摘した。これらの地域では日常必要とされる水が足りておらず、政府が新たな水源確保の必要性を認識しているのか、またその対応の時期について質した。

 これに対して水資源省側からは、政府が衛生水供給・村環境保全計画委員会を通して、水開発セクタープログラムを全国で展開中であること、2010/2011年度には(ムボコム区のある)モシ県評議会が、12カ村において河川水を引き込む重力流下式水路(=給水パイプライン)スキームの実行のため、22億シリングを予算措置したとの説明がなされた。またそのうち3億2千50万シリングが、実施済の水路建設技術料として当該村に手渡され、次期入札のための書類も水資源大臣に提出されていると説明。加えてこの計画は3プロットで実行中であり、その第一段階がムボコム区の北コリニ村及び南コリニ村であり、同プログラムが完了すれば、ムボコム区を含むモシ県下における水問題は解決する見通しであるとの答弁を行った。

 またモシ県評議会は、これら12カ村での事業継続のため2011/2012年度も、水開発セクターの計画を通して7億470万シリングを独立計上しているほか、同県下ではその他にもキルワ、カヘ地区水供給計画が実行されており、2011年12月に完工の予定であること、2012年4月には3つの拡張計画があると述べ、この計画にはドイツのKFW(ドイツ復興金融公庫)が37億シリングを拠出することで、県評議員会と合意に達していると説明。

 この説明の中で、上記12カ村においては建設に先立ち、住民に対し、地場の技術を使うこと及び建設後の維持管理コスト・利用料を住民自身が負担できるものであることが条件とされ、その結果重力流下式水路が選択されたこと、従って意見表明及び技術選択、水利用において参加型の手法が採られたことが述べられている。また水源に関しては、現在利用可能なのはムルスンガ川であり、その流量は毎秒44リットルであるとした。

 これに対してリモ議員はさらに、この問題は長期にわたって放置され続けており、実際、前水資源省大臣補佐官チザ氏が3年前に現場視察に訪れ、解決にあたることを約束したにも関わらず、今日に至るまで何らの進展も見ていないこと、従って本問題解決の期限を明示すべきことを要求。また(キリマンジャロ山麓に暮らす)チャガ民族の伝統では、牛は放牧ではなく舎飼いが一般的なのであり、水が入手できないことは極めて深刻な問題であること、同様に、山では高齢化が急激に進んでおり、近くで水が確保が出来ない問題はさらに深刻さを増していることを指摘した。また水資源省が水源として説明したムルスンガ川には、今や十分な水量がないと迫った。

 対して水資源省側は、モシ県評議会はすでに説明したように水プログラムを通して計画を実行中であり、現在まで順調に推移していること、第一段階の建設を継続するためのコントラクターの入札も告示されていること、幸いにしてドイツからの支援も得られる見込みであることを重ねて説明し、2015年までには当問題は解決できるものと信じていると答弁している。また他地域においても、資金調達が出来る限りにおいて、継続、拡大していくとした。

 一方、ムルスンガ川の水量については、大雨季には問題ないが、乾季には環境破壊に伴い水量が減り続けていることを認め、リモ氏に対して水源が守られ、年間を通じて十分な水が持続的に得られるよう、環境保全を住民に働きかけて欲しいと依頼した。

 国会でのやり取りは以上のようなものであった。水問題とは直接関係ないが、国会の場で一山村の水問題が真剣に議論されているのがなかなか新鮮である。また官僚の答弁も丁寧かつ具体的、詳細であり、これもまた意外な感じがする。タンザニア国会侮るべからず、であろうか?

 もっともこの件にオチがないわけでもない。実は上記とまったく同じような議論はすでに2008年の国会でもされており(質問者がリモ議員で答弁者が水資源省の官僚という構図も同じ)、その時の答弁でも同じような説明がなされている。つまり国会での説明が丁寧、具体的、詳細であることと、それが実際に現場で実行されているか、或いはその通りに実行されるかは別問題ということになる。このへんはやはりタンザニア、ということだろうか?

 結局残っているのは水不足という現実であり、水源を守り、これ以上の水不足を少しでも防ごうと、一生懸命植林の努力しているのは地域の住民であるという、少々やるせない現地の現実である。給水パイプラインも大事だが、水源が涸れてしまっては元も子もない。森を守ろうという意思を持つ村々や地域住民たちを、森林管理政策の中に積極的に位置づけ、活かしていくことを同時に考えなければ、結局は使えない器だけが空しく残るだけなのではなかろうか。







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