神奈川県に暮らす外国人は、現在16万人以上。毎年増え続けています。
外国人にとって病気やケガは、日本語の習得を待ってくれません。現在、医療機関での会話が困難な外国人は、神奈川県だけでも約6万人いるといわれています。病状の詳細や複雑な制度等の理解不足や誤解を放置すると、取り返しのつかない事態に発展しかねません。日本語会話が困難な外国人にとって、医療通訳はまさに生命線なのです。
一方で、多くの医療機関では「患者が通訳を連れてくるべき」という考えが主流で、日本語ができない外国人患者は、家族や知人に通訳を頼むしかありません。正しくかつ円滑に意思疎通ができないために誤訳のケースも少なくありません。命と健康を守るためには、適切かつ円滑な医療のための通訳が不可欠なのです。
多言語社会リソースかながわ(MICかながわ)では、さまざまな言語の医療通訳スタッフを育成し、派遣する事業を行っています。これまで神奈川県と協働して35病院を対象に医療通訳派遣事業を実施し、2014年度には10言語による5,137件の通訳派遣を行ってきました。一方で外国人患者が訪れる医療機関は、35病院以外にも数多くあり、私たちが独自に医療機関と交渉し、医療通訳スタッフの受入れを求めていく必要があります。
私たちは、医療機関の理解を得るために、次のことについて話し合い、提案していきたいと考えています。
○通訳というコミュニケーション支援手段は患者が用意するものではなく、医療行為の一部として医療機関が用意するものであるということ
○訓練を受け評価選考された医療通訳スタッフを、MICかながわが電話一本で派遣すること
○そのことが、医療機関と外国人患者の双方が納得できる医療の実現につながること
これにより、日本語会話が困難な外国人患者が十分な説明を受けることができ、病院側は誤解などによるリスクを負うことなく医療行為を行うことができるようになるのです。
10年後には神奈川県内の医療機関すべてに派遣することを目指します。医療機関と交渉し、通訳派遣コーディネートや事業管理を行うための資金を募集しています。